代表取締役社長 多田和宏さん
田舎暮らしをする上で、気がかりなことの1つが「公共交通」ではないでしょうか。
その不安を解消すべく、沼田町では2018年6月より、乗り合いタクシーの運行をスタートさせました。
町民の生活を支えるために、観光バスの会社でありながら、その乗り合いタクシーの運行をも担う有限会社明日萌観光バスの、多田和宏代表取締役社長にお話をうかがいました。
沼田生まれ沼田育ちの多田社長は、平成17年にお父様の経営していた運輸会社から貸し切りバス部門を独立させ、有限会社明日萌観光バスとしてのスタートを切りました。
「以前は予約制のバスが町内を運行していましたが、利用者の高齢化などから、よりきめ細かく、市街地でも自宅前でも乗り降りできるようにと乗り合いタクシーの運行が決まり、当社で事業委託をうけました。対象となる町民は、利用条件はありますが、基本的には安価で利用できるので、免許を返納された方はもちろん、車を持っていない方にとってなくてはならない存在となっています」と、運行開始から1年半で、すっかり町民の足として定着しているそう。
「開始当初の予想を上回る利用者数で、多い時は千人を超える月もあるなど、2台用意したタクシーは毎日フル稼働しています。歳を重ねても沼田で安心して暮らすためには、足となる交通手段が不可欠。ですので、この仕組みを持続可能なものにするために、町民の皆さんの理解はもちろん、人材育成や仕組み作りについて、例えばNPOなども視野に入れつつ、町と協力していかなければと思っています」そう課題を指摘しつつも、誰よりもまちの未来を想う多田社長。
「うちの乗務員さんは小さいまちならではの気遣いができる人ばかりで、『このお客さん昨日も、一昨日もトイレットパーパー買ったのに、今日も買っているけど大丈夫?』と些細な変化にも気づき、必要に応じて役場の担当課に連絡を取ったりもしています。できることなら、これからもまちの人の暮らしを守りたいという、想いのある人に来て欲しいですね」